特別買収目的会社(SPAC)とは?

特別買収目的会社(SPAC)は、事業をしない買収を専門とする会社のことです。上場をしたい企業が、SPACに買収されることで、簡単に上場企業となれるのがメリットです。日本における状況やデメリットについても考察してみましょう。

特別買収目的会社(SPAC)とは?

SPACというのは「Special Purpose Acquisition Company」の略で、特別買収目的会社と呼ばれることもあります。この名称からもわかるように、一つの会社としての機能を持っているのですが、何らかの事業をするのではなく、企業買収を目的として設立される特別な会社と言えます。

本来は、買収対象となる企業や事業については限定されていないのですが、未公開の企業や事業を買収することが多くなっています。そのやり方としては、まず特別買収目的会社(SPAC)がIPOをします。この時点では、どの企業を買収するかどうかは明確になっていません。IPOをした後に、未公開企業などを選定して買収を行います。

この特別買収目的会社(SPAC)の仕組みはもともと存在していて、すでに1980年代には機能していました。しかし、この制度を利用した詐欺行為が横行したため、規制が敷かれるようになり下火になってしまいます。その後、法令順守をしながら、特にアメリカでの特別買収目的会社(SPAC)によるIPOやM&Aが件数を増やしています。上場件数自体も増えていますが、特に調達額の伸びが激しく、大型案件が特別買収目的会社(SPAC)によって進行していることが分かります。

このように、特別買収目的会社(SPAC)による上場や買収は急拡大しているのですが、日本では実質的に運用ができません。規制によって、少なくても国内によるIPOや買収ができないことになっているからです。

M&A市場への影響

特別買収目的会社(SPAC)を利用することによって、上場が非常に楽になるというメリットがあります。特に、未上場企業がSPACによってIPOをすれば、審査をパスするためのコストや時間を節約することができるというのがポイントです。IPO手続きをするのではなく、M&Aによってそのまま上場できるわけですから、よりスムーズに手続きを完了させられるわけです。

このように、未公開企業が上場をするための一つの手段として、特別買収目的会社(SPAC)という方式が採られることが多くなっています。これは、M&Aの新しい流れとなることが予測されます。事業拡大などのためのM&Aというよりも、自社のIPOのみを目的としたM&Aがなされることになるからです。そのため、その目的や流れが変わっていくことになります。世界的に特別買収目的会社(SPAC)の利用が進んでいますので、M&A市場の中でも存在感を強めていくことが考えられます。

SPACを用い日本から米国に上場する

日本企業が米国に、全くの新しい状態で上場するというのは、本来であればとても面倒なプロセスを踏まなければなりません。IPOは審査がとても厳しいからで、そのために多大な労力と時間、資金が必要となります。しかし、上場した特別買収目的会社(SPAC)に買収されるという形を採ることで、実質的に面倒な手続きを踏まなくてもすぐにアメリカにおける上場企業となれるわけです。そのため、日本企業が最短時間で、米国上場企業として活動を開始することができる優れた方法となるのです。

実際、ソフトバンクグループなどはこうした手法を用いて、効率的にアメリカにおける事業を拡大しています。代表者の知名度や信用力を武器に、経営力の強い企業を買収してアメリカにおける事業を展開することができているのです。また、話題性が強いことからも資金調達がしやすく、大きな資本力をバックに強力な事業展開を無駄な時間をかけることなく、スムーズに行えるのもメリットとなっています。

日本版SPAは解禁される?

現在のところ、前述のとおり特別買収目的会社(SPAC)は、日本では制度として認められていません。もちろん、日本企業が海外において実施するのは構わないのですが、国内で特別買収目的会社(SPAC)を立ち上げることはできない法制度となっています。その理由としては、やはり事業を持たない、いわば空箱のような会社が上場するということに不信感が根強いからです。また、ずっと行われてきた正規の手法で上場をすることなく、裏口的なやり方をするということについても反感が強いと言えるでしょう。

しかし、特別買収目的会社(SPAC)を利用した上場には、大きなメリットがあります。まず、スタートアップがしやすくなるという点です。上場するには、通常証券会社によって公開価格が決められることになります。ここまで至るには、複雑な手続きや審査があり、相当な期間がかかります。また、手続きをするためだけにかなりのコストがかかるというのも壁となります。しかし、特別買収目的会社(SPAC)を使えば、こうした障壁がなく、すぐに上場できてコストも抑えられます。そのため、ベンチャー企業といった成長力の強い会社がすぐに上場企業となり、資金調達できるようになるわけです。

一方で、この手法にはリスクもあります。特に日本市場では、そもそも株式による資金調達のパワーが弱いという点を挙げられます。スムーズに特別買収目的会社(SPAC)によって上場しても、株価が伸び悩んでしまう可能性があるのです。また、資金調達がしっかりとできないことで、将来性の高いベンチャー企業が体力を削られるリスクもあります。上場したことで、公開企業としての余計なコストがかかってしまうわけです。

メリットとデメリットをバランスよく検討することが重要

特別買収目的会社(SPAC)にはたくさんのメリットがあり、海外では活用件数が伸びています。特に、規制や審査が厳しい海外への事業展開をするにあたって、短期間で現地の上場企業となれるというメリットがあります。一方で、ルールが明確に整備されていない現状にも注意すべきです。そのスキマを縫って、投資リスクを増大させる詐欺的な案件が生じることもあります。こうしたデメリットもありますので、しっかりとメリットとデメリットを比較してバランスの良い判断をすることが大事です。そして、それぞれの国の法制度をしっかりと理解すると共に、投資家の信頼を得られるかどうかという点を考慮することもポイントとなります。

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