海外に市場を求めるべき業界

海外進出に伴うクロスボーダーM&Aでは、業界ごとにM&Aの目的や背景が異なります。合併によって得られる利益を考えることで、業界ごとの特長や傾向を理解できます。また、過去の成功事例や規模を参考にするのも良いでしょう。

海外M&Aの利点を考える

企業の海外進出においては、現地企業とのクロスボーダーM&Aに大きなメリットがあります。海外M&Aなら、ゼロからネットワークや人材確保、市場への参入を試みる必要がなく、現地企業が既に持っているノウハウを活用して市場を広げ、新規顧客の獲得ができます。

海外M&Aの規模や人気は、取引額や評価額をチェックすることによって、業界ごとの傾向が分かります。

例えば、Web業界やアプリ業界においては、市場はあっても現地の文化や風習を理解する必要があるため、新規参入するよりもクロスボーダーM&Aに大きなメリットがあるでしょう。

国内市場が縮小している業界

クロスボーダーM&Aは、国内市場の成長が頭打ちになっている業界にとって、市場拡大という点で大きなメリットがあります。

例えば、少子化が進むことによって、金融業界においては日本国内の市場縮小が懸念されています。三菱東京UFJ銀行や三井住友海上火災保険などでは連結子会社化によって成功を収めているものの、SOMPOホールディングスのように、完全子会社化することで成功を収めた事例もあります。

ホテル業界や旅行業界でも、経済成長が高いアジア諸国への進出が増えています。現地企業を完全子会社化するM&Aが多く、今後は海外のネットワークやノウハウを生かしたM&Aが増えると考えられています。

鉄鋼業業界もまた、日本国内市場が縮小している業界です。そのため、積極的なクロスボーダーM&Aが盛んです。三菱製鋼や日鉄鉱業など、大手企業による海外M&Aでは、現地企業を完全子会社化することによって成功を収めています。

海外の技術力を取り入れたい業界

不動産業界では海外ネットワークの拡大を始め、商品やノウハウの取得によって、経済基盤の安定を目的としてM&Aが行われることが多いです。積水ハウスのように現地企業の完全子会社化によって成功を収める事例がある一方で、パーク24のように連結子会社化をするケースもあります。

医療業界においては、研究開発に関する資本や優秀な人材の確保を目的とした、海外M&Aが盛んです。武田薬品工業や田辺三菱製薬のように、現地企業を完全子会社化するM&Aが多く、規模が大きなM&Aも多く見受けられます。

海外の労働力に頼りたい業界

自動車業界では、市場のグローバル化によって、海外M&Aも盛んに行われています。今後はさらにM&Aが進むと考えられている業界でもあり、テクノロジーの高度化が進んで、他の業種からの参入が増えることも予想されています。

製造業もまた、海外の労働力に頼りたい海外M&Aが盛んな業界です。この業界では、事業展開や製造の合理化、コスト削減などの目的で、M&Aが行われる傾向があります。

美容やファッション業界では、現地に製造ラインを移転して生産体制を整えるなど、市場の拡大を目的としたクロスオーバーM&Aが盛んです。比較的規模が小さなM&Aが多い点は、この業界における特徴と言えます。

線維素材では、中国市場のニーズ増加に伴うM&Aが活発です。市場の拡大及び経営基盤の強化に加え、海外における豊富な労働力に頼りたい目的でのM&Aもあります。

国際的なシナジーが発揮できる業界

海外M&Aでは、日本国内企業と海外企業が合併することによって、得られるシナジー効果が高くなることが成功のポイントとなります。

例えば、食品業界では盛んに海外M&Aが行われていますが、市場の拡大だけではなく、食料の需要が増加している地域の現地企業とM&Aすることによって、物流の効率化などのメリットがあります。

電気電子業界や機械業界では、経営体制の合理化や事業展開を目的としたM&Aが盛んです。進出する地域や国によっては、製造コストの削減や労働力確保などのメリットがある他、技術やノウハウのシェアなど、国際的な相乗効果も期待できます。

アメリカ進出をもっと簡単に…「ターンキーM&A」

今も人口増加を続けるアメリカ市場は大変魅力的。日本からのアメリカ企業M&Aも加速を続けています。

しかし国際間の取引には国内では想像できないようなリスクも存在するため、大きなハードルを感じている企業も少なくありません。「ターンキーM&A」は、そんな国際間ギャップを低減し日本企業のアメリカ進出をより身近なものとします。

海外進出時の異文化リスク、人材リスク、継承リスクなど様々な問題を低減します。
今後の事業戦略の選択肢のひとつとしてお留め置きください。