コロナ後のアメリカM&A市場を考える

新型コロナウイルスのアメリカ経済への影響(20208月時点)

世界的な新型コロナの感染拡大で、アメリカは4月に14.7%という世界恐慌以降で最悪の失業率を記録した。

この失業率は7月には10.2%と3ヶ月で大きく改善したものの、感染の再拡大を受け、高どまりしている。

また、失業保険に週600ドル上乗せされていた給付金が7月31日で終了し、8月に入ってから低所得層の消費活動が冷え込んできている。

同時に、中小企業の雇用対策も申請期限が8月7日で期限が切れる。これは雇用を維持すれば政府が賃金を保証していた制度で、これが無くなると、失業率の上昇が予想される。

これから気温が下がり屋内で活動する人が増え、さらなる感染拡大が懸念される中、景気悪化が予測されている。

一見、アメリカの経済は先行きが暗いようである。

アメリカM&A市場への影響

買い手と売り手とでの意識の違い

ここで、M&A市場における意識調査結果が興味深い。

M&A市場における新型コロナの影響があるかどうかの調査だ。

その調査では、買い手の会社は「マイナスの影響はない」と実に66%の会社が答えている。逆に、売り手は「マイナスがある」と答えたのは58%である。

M&Aの世界では、買い手は大手会社が大半をしめる中、売り手は中小企業である。

大手はコロナ危機を耐えうる体力があり、中・長期的な見通しで買収を考えているが、中小企業は目の前の資金繰りに圧迫されている構図が見える。

大企業は危機と見ていない?

大企業から見ると、今回の新型コロナ危機は、リーマンショック時とは違い、金融が混乱していない。

株価は3月に一度は暴落したものの、現在はダウ工業株30種平均が去年と同等の水準で取引され、ナスダック指数に至っては新型コロナウイルスによる暴落前の高値を12.2%上まっている。

株価が落ちていない以上、大企業の経営者たちは大きな景気悪化が起きることはないという楽観的前提の元、経営の指標を決めているようだ。

中小企業と大企業の経営状況に乖離は発生しているものの、先見性のある業態には積極的な投資が行われる可能性があり、これからのM&Aが活性化することが望める。

海外進出先としてのアメリカの評価

ここで、日本から海外の企業を買収するという視点から、アメリカを考えてみよう。

確かに、新型コロナの被害をアメリカは多大に被った。

しかし、新型コロナの被害を受けたのは、アメリカだけではない。

世界中が等しく新型コロナに罹患したのだ。そんな世界で、今、これから、どこに投資することが賢明なのか?

人口の多い中国やインドか?

発展著しい東南アジアの新興国か?

感染が落ち着いたヨーロッパか?

やはり、アメリカなのではないだろうか。

なぜなら、アメリカは先進国の中で唯一、人口が増え続け、景気悪化からの回復のスピードがやはり他国より速いであろう、かつM&A制度の整備により法定性のある事業環境を見込めるからである。

混乱の傷跡が生々しい現在は、大国アメリカに進出するのが安全であろう。

ただ、今後の新型コロナ感染拡大の行方にも、今秋の大統領選の行方にも市場は揺れ動くので、注意深い調査が必要なことは言うまでもないだろう。

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