アメリカ人労働者の実態

アメリカにおける経営者と従業員の関係性は日本と大きく異なります。

給与体系や離職・再就職に対する考え方にも違いがあります。

ですから、アメリカにおける海外M&Aを成功させるためには労働者の実態とメンタリティーを理解することが不可欠です。

M&A成功には労働者の理解が必要

M&Aを利用して海外への事業展開を考える経営者の中には、これからの成長を見込んでアジアやアフリカを選ぶ人もいれば、莫大な経済規模を誇るアメリカを第一候補として考える人もいます。

アメリカの年間GDPは2019年の時点で20兆ドルを超えており、これは日本のGDPの4倍以上です。

また、M&Aに対する市場の理解も深いことから、アメリカの企業を買収対象として考慮する人が多いのです。

とはいえ、アメリカでの海外M&Aを計画する上で大切なのは「アメリカ人の労働に対する意識を明確に理解すること」でしょう。

日本人労働者との意識の違い

日本の特徴

日本では長年に渡り「終身雇用」という考え方が一般的でした。

会社は新入社員をしっかりと育て上げて定年退職まで面倒を見るという責任があります。

一方、従業員は35年あるいは40年の間、愛社精神をもって会社にひたすら貢献することが求められます。

従業員は懲戒処分に値するほどの失態を犯さない限り、突然解雇されるということはまずありません。

また、自己都合で退職するときには、半年ないし1年間でしっかりと引継ぎを行ってから職場を後にするというのがマナーとされています。

最近では非正規雇用の労働者が増えてきてはいるものの、基本的に「長年1つの会社にとどまって業績アップに貢献する」というメンタリティーは変わっていないと言えるでしょう。

アメリカの特徴

一方、アメリカの労働者では経営者の判断で突然解雇されるということが日常茶飯事です。

また、従業員が突如仕事を辞めると経営者に通告してくることもあります。

「仕事がいやになったから」「他の仕事がしたくなったから」「大学で学びなおしたくなったから」といった理由で簡単に離職する人がいるわけです。

個々の権利や判断を尊重するアメリカでは、そのように離職する判断を下した労働者に対して、周囲が批判的な見方をすることはあまりありません。

また、スキルがあれば仕事復帰がしやすいのもアメリカの特徴です。日本のように35歳まで、あるいは40歳までという採用基準はまずありません。

ですから、子育てを終えた40代ないし50代で再び職場に戻り、精力的に働くという人は非常に多いのです。

報酬面での違い

日本では、従業員の報酬を決定する際の指標として勤続年数や役職などが考慮されます。

一方、アメリカでは定期昇給という考え方そのものがありません

労働者の報酬は職務に応じて変動します。

専門的な技術を持っており、会社に貢献することができれば報酬はその都度大きくなる一方で、査定で会社への貢献が認められない人に関しては、昇給がないだけでなく即日解雇される可能性もあるのです。

また、日本では一般的な交通費の支給や家族手当、育休制度なども、アメリカでは大半の企業で導入されていません。

ですから、よりたくさん稼ぎたい労働者はスキルを伸ばして数字に見える仕方で会社に貢献する必要があるわけです。

経営者としてアメリカ人労働者と上手に付き合う秘訣

海外M&Aでアメリカの企業を買収しようと考えている経営者は「アメリカ人のメンタリティーを理解すること」が何よりも大切です。

労働者が経営者に何を求めているのかを理解するなら、労働意欲を高めるシステムを社内に構築することができるでしょう。

可能であれば、日本とアメリカ双方のメンタリティーを理解できるスタッフを雇用して、仲介役また緩衝材となってもらうというのも良い方法です。

「すべての従業員は日本のやり方を学べ」という接し方をしてしまうと、個々の権利を重んじる国民性と衝突が生まれてしまい、労働者はすぐに職場を去ってしまうに違いありません。

また、新規の採用も非常に難しくなることが予想されます。

ですから、積極的にコミュニケーションを図り、自分の考え方をアジャストしていくという柔軟性がカギとなるでしょう。

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