日本企業と海外企業、労働者意識の相違点

海外M&Aの広がりは、企業の在り方や労働者の働き方に少しずつ変化をもたらしています。

というのも、日本と海外では仕事に対するスタンスが大きく異なるからです。

同じアジア圏の国であっても、違いはさまざまな点に見られます。

ですから、海外M&Aで事業拡大を目指している経営者は、買収・統合後に生じ得る問題点を把握するためにも、文化や歴史的背景に基づく相違点をしっかりと理解しておくことが大切です。

相違点を数えたらきりがありませんが、ここでは企業買収に関連が多い労働者意識についてのいくつかを取り上げます。

交渉の場面における相違点

日本企業では、クライアントの交渉を行う際、決裁権限を持つ上司ではなく部下が折衝を担当します。

毎回の話し合いが終わるたびに、担当者は会社へその成果を持ち帰ってミーティングを行い、部署内での意見をまとめたうえで上司の判断を仰ぎます。

そうして少しずつ話し合いを進め詳細を決めていくので、契約がまとまるまでにかなりの時間を要するということは珍しくありません。

とはいえ、チームとして交渉に当たり、確認を徹底して行うことで、契約における重要なポイントの見落としを防ぐことができるというメリットがあります。

一方、海外企業では、多くの場合クライアントの交渉に参加する社員に対して決裁権限が与えられています。

双方が契約内容に納得することができたなら、その場ですぐに契約がなされるということも珍しくありません。

このスピーディーな交渉は日本ではあまり見られないスタイルということができるでしょう。

また、社内の役職に関わりなく、個々に大きな責任と裁量権を与えることで、判断力と分析力を持つビジネスパーソンとしての成長を促すという狙いもあります。

ただし、契約完了後にその内容に関して問題があることが分かったなら、担当した社員個人がその責任を負わなければなりません。

働き方にも大きな違いが存在する

日本企業では従業員に対して「愛社精神」を培うようにと期待する経営者が少なくありません。

そのメンタリティーは働き方にも反映されています。

会社の利益となることであればなんでも行い、求められれば残業や休日出勤も喜んで行うというケースは少なくないでしょう。

また、休憩時間中であっても、クライアントから問い合わせがあればすぐに対応するというのが一般的です。

トップダウンの考え方が非常に強い会社では「上司が退社するまで部下は帰宅するべきではない」というケースもあるほどです。

しかし、こうした働き方は海外企業ではほとんど見られません。

契約を重視する海外企業では、契約書で規定された時間内にしっかりと働くという考え方がスタンダードです。

ですから、昼食休憩の時間帯は契約外となるため、たとえクライアントから連絡が入っても対応することはほとんどありません。

クライアントも「昼食休憩時なら仕方がない」と考えるので、気分を害することもないわけです。

また、残業も契約時間外のことであり、プライベートの時間を削ってしまうことになるので、大抵の労働者は行いません。

むしろ、「規定されている時間内で業務を終えることができないのは労働者としてのスキルが不足している」という考え方が一般的です。

これは日本企業と海外企業の大きな違いと言えるでしょう。

互いの長所を理解することが重要

海外M&Aを成功させるためには、日本企業と海外企業の違いを問題視するのではなく、それぞれの長所に注目して理解を示すことがカギとなります。

日本のやり方を無理やり押し付けるのは反発を引き起こすだけであり、よい結果につながることはまずありません。

むしろ、日本企業のメソッドを紹介して、そのメリットを理解してもらうように働きかけましょう。

そうして相互理解が進むにつれて、互いの長所をバランスよく取り入れた最善の方法が見つかるはずです。

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