日本企業によるクロスボーダーM&Aが増加傾向!その理由は?

2020年には700件以上となった日本企業のクロスボーダーM&Aは、日本市場の成長限界と海外市場の伸び代を背景に、今後もin-out取引が増えると考えられています。

三角合併やLBOなど、クロスボーダーにメリットが大きいM&A手法もあります。

増えている日本企業と海外企業とのクロスボーダーM&A

M&Aは大きく分類すると、日本国内の企業同士で行うin-in取引、日本国内の企業が海外企業を譲り受けるin-out取引、そして海外企業が日本企業を譲り受けるout-in取引があります。

クロスボーダーM&Aというのは日本企業が国境を越えた海外企業と行うM&Aで、in-outとout-inが該当します。

2020年におけるM&A件数の合計は3730件で、このうち、クロスボーダーM&Aは700件程度となっています。

日本国内においては国内企業同士のM&Aが現在でも主流ですが、近年ではクロスボーダーM&Aを行う企業が増えていて、今後も増え続けると考えられています。

増えるクロスボーダーM&Aの理由とは?

国境を越えたクロスボーダーM&Aが増えている理由は、いくつか考えられます。

1つ目は、少子化と高齢化が進む国内市場において、国内生産人口が減少しているという点です。

2つ目は、市場全体のビジネスモデルが変化し、特に製造業部門においてはアウトソーシングが活発になったことです。

3つ目は、インターネット技術が進歩したことでグローバル化が進み、従来型の製造を維持することによって企業成長率が低迷していることなどが挙げられます。

日本国内においては市場の成長率は頭打ちの状態となっているものの、海外市場ではまだまだ大幅な成長が期待できる市場がたくさんあります。これが、クロスボーダーM&Aを検討する企業が増えている大きな理由と言えます。

企業が成長できる市場を求めて海外に目を向けた際には、M&Aを検討するのが最善策なのです。

メリットの多いクロスボーダーM&A

海外企業とのM&Aには、日本企業にとってたくさんのメリットがあります。

例えば、成長が見込まれる海外市場をM&Aによって獲得できるという点がある他、M&A企業が既に所有している顧客の基盤をそのまま引き継げるという点もメリットと言えます。

また、人材や技術、ノウハウの面でもメリットが大きく、自社でゼロから構築するよりも、すでにあるものを引き継ぐことによって、長期的にはコスト削減効果が期待できます。

日本国内企業同士のM&Aと比較すると、クロスボーダーM&Aは全般的に企業の規模が大きいという特徴があります。

これは、中小企業よりも大企業が多くクロスボーダーM&Aを行っていることを表しています。

中小企業が小規模のM&A取引を行うことはもちろん可能ですが、その際には、買収後のPMIが難しいという点などを踏まえた上で、慎重に遂行することが必要でしょう。特に相手企業が海外ということで、風土や文化が異なりますし、社員の価値観や習慣なども大きく変わります。クロスボーダーM&Aの中でも、in-out取引においてはこの点を特に注意したほうが良いでしょう。

どんなM&A手法が多いのか?

M&Aにはさまざまな手法がありますが、一般的な国内企業同士のM&Aでは秘密保持契約を締結した後に基本合意を行い、買収監査を経た上でクロージングの作業を行います。

この過程で株式譲渡や事業譲渡などの手法が用いられることが多く、これはクロスボーダーM&Aでも用いられています。

しかし、海外企業とのM&Aにおいては、他にもよく用いられる手法があります。

例えば、三角合併です。合併される消滅会社の株主に対して、存続会社の親会社の株式を対価として支払う手法です。

これは、合併される海外企業にとってはコスト面で大きなメリットがあります。この手法では合併後に株主に対して自社株を対価として支払うため、合併の際に多額の現金が必要ないという点です。

もう一つは、LBOです。これは譲渡企業の将来のキャッシュフローや利益を担保として行うM&Aで、金融機関から資金調達をした上で行うという特徴があります。

譲渡企業が持つ資産や将来の利益を使って金融機関へ返済を行うため、譲受企業の資金が少なくてもM&Aが可能となります。

アメリカ進出をもっと簡単に…「ターンキーM&A」

今も人口増加を続けるアメリカ市場は大変魅力的。日本からのアメリカ企業M&Aも加速を続けています。

しかし国際間の取引には国内では想像できないようなリスクも存在するため、大きなハードルを感じている企業も少なくありません。「ターンキーM&A」は、そんな国際間ギャップを低減し日本企業のアメリカ進出をより身近なものとします。

海外進出時の異文化リスク、人材リスク、継承リスクなど様々な問題を低減します。
今後の事業戦略の選択肢のひとつとしてお留め置きください。