日本とアメリカ、M&A市場の違い

日本とアメリカではM&A市場の性質で異なる点が多いようです。

どのような違いがあるかをまとめてみましょう。

市場規模が大きい

想像に難くないかと思われますが、アメリカ合衆国はM&Aの元祖であり、出回る件数自体が日本に比べ圧倒的に多いです。

例えば日本国内のM&Aプラットフォームの最大手サイトでは、掲載無料でも掲載総数が5,000件程度であるのに対し、米国のプラットフォームサイトは、掲載有料であるにもかかわらず掲載総数50,000件を超えてきます。

掲載料が有料か無料かで集客の難度が違うのは言わずもがなですし、それだけ厳選されているということにもなります。

また確率論ですが、多数の案件があればそれだけ良い商品が発掘できる可能性も高いであろうという期待があります。

オープンな市場

日本のM&Aはどちらかというとクローズで、M&A仲介業者が売り案件を自分のところで抱え隠してマッチングするという風習が残っています。

その点アメリカ合衆国ではオープンな市場が確立されていると言えます。

なぜなら、

日本では、多くの場合、売主がブローカーに依頼する時点では無料です。そのためブローカーは、自身が関わる範囲でマッチング成立までこぎつけないと1円の儲けにもなりませんので秘密裏に進めようとします。アメリカでは、多くの場合、ブローカーは依頼時に手数料を徴収します。そのためその案件を広く公開告知することに抵抗がありません。

市場にたくさんの物件情報が流通する理由として、このような商習慣の背景があるのです。

有名なところでいえばウォールストリートジャーナルの様な大手のメディアが、単に広告として売り案件情報を掲載しています。ちょうど日本の求人情報のようなイメージです。それだけ露出も高く、世間にも広く認知されたコンテンツなのです。

またオープンであるからこそ、正当な価格での取引がなされやすい市場であると言えます。

※もちろんこの点に関しては、必ずしもアメリカが優れているとは言い切れません。売手からすると初期費用無料で売却活動ができるという点は大きなメリットでもあるからです。

売り手マインドの違い

日本M&Aにおける売り手の売却理由は、経営状態悪化や後継者難によるものが多いと言われています。そのため事業売却=失敗、「会社を手放さなければならなくなった」という負のイメージがあります。

一方、アメリカでは「丹念に育てた牛を売る」ように事業そのものを商品と捉え、「一番高く売れる時に売る」という考え方があります。つまりアメリカ人にとって多くの場合、事業売却=成功なのです。

このような考え方の違いはM&Aの現場でも現れてきます。日本のM&A交渉の初期段階では多くの企業が、BS(バランスシート、貸借対照表)に着目します。譲渡対象会社が「どの程度の資産を持っているのか?」ということが重視される傾向にあるのです。一方アメリカでは、多くの場合初期段階ではPS(プロフィット&ロスステートメント、損益計算書)に着目します。つまり譲渡対象会社が「将来いくら稼げるのか?」が重視されます。

「現在」に着目する日本と「未来」に着目するアメリカ。どちらが良いかは別として、商品としての多様性は間違いなく後者に分があります。そのためこのマインドの違いが、巨大で活況な市場特性を作り上げている要因と想定できます。

※著者の体感主観であり、もちろんこれに当てはまらないケースも存在します。

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