海外M&Aのアドバイザーの選び方-国内M&Aとは異なる基準がある
海外M&Aのアドバイザー選びでは、相手国の法制度や文化に精通したアドバイザーを選ぶことが注意点です。
日本語を十分に理解していることもまた、手続きや交渉をスムーズに進めるうえでは役立ちます。
複数を比較検討して選ぶことが賢明です。
目次
その国のビジネス文化に精通しているか
海外M&Aでは、アドバイザーの選び方は、そのM&Aが成功するかどうかに大きな影響を与えます。
選び方の1つ目の注意点としては、その国のビジネス文化や風習に精通しているかどうかという点があります。
海外M&Aのアドバイザーの中には、M&Aとしての経験や実績はあっても、その国のビジネス文化に精通していない人物は意外と多いものです。
例えば対応国数が非常に多いアドバイザーの場合など、全ての国に精通することは現実的に難しいため、知識が広く浅い状態になっていると言わざる負えません。
海外M&Aにおいては、買収側が最も不足している部分、つまり「地域性」をアドバイジングする能力が最も重要となりますので、この分野での善し悪しを選択の判断基準とするべきなのです。
その国に拠点があるか
2つ目の注意点は、そのアドバイザーがどの国に拠点を置いているかという点です。
海外M&Aのアドバイザーは、これからM&Aをすすめようとしている国に拠点を置いた人材を選ぶのが理想的です。
どんなにM&Aの経験や実績があっても、現地に拠点を置かずに活動しているのでは、詳細な情報を掴むことは難しいですし、適切なアドバイスをする事も難しいでしょう。
海外にはさまざまな国があり、それぞれ文化や風習、企業文化が違いますし、働く人々の考え方や価値観も異なります。
その国に拠点を持ち、高い理解度を持ったアドバイザーの方が、的確なアドバイスをする事ができるでしょう。
その国でのビジネス実務経験があるか
アドバイザーの選び方で気を付ける3つ目の注意点は、その国でビジネスの経験がある人を選ぶという点です。
ポイントは、M&Aのアドバイザー経験ではなく、実際に自分でビジネスをしたことのある人材を選ぶべきという点です。
※海外M&Aアドバイザーの中には、買う側と売る側をマッチングさせる仲介業をメインとしている所があります。この場合、買う側と売る側の条件だけを見てマッチングするので、実際の経営やビジネス文化などについては、ほとんどノータッチということが少なくありません。
例えば、投資アドバイザーから投資ノウハウを享受する際、そのアドバイザーが机上の論理のみで実際に自ら投資を経験していなかったらどうでしょう?
おそらくその言葉にはリアリティがなく、顧客は不安に感じてしまうはずです。
これは、アドバイザーが「リスクを負ったことがない」ということに起因します。実際に自身で同じリスクを負った経験があるアドバイザーだからこそ顧客は同じ意識・目線を共有し、信頼感が生まれるのです。
経営学者が必ずしも実業で成功しないのと同じことです。
国内M&Aに比べて海外M&Aの現場では、その差が更に顕著になります。なぜなら買収側にとって、より未知な部分が多い作業となるからです。
国内M&Aのように買収側自身が経験豊富で、アドバイザーは法律論など教科書の内容を補完すれば良いというだけなら問題はありませんが、海外M&Aではアドバイザーの能力がプロジェクトの成否そのものに大きく関わります。
だからこそ、その国の「M&Aの方法」ではなく「M&Aを利用した経営の方法」を理解しているアドバイザーを選ぶことが最良となるのです。
日本語に十分に対応しているか
4つ目の注意点は、アドバイザーが日本語を理解しているかどうかという点です。
相手国の言語にネイティブ並みに精通した人材がいれば、アドバイザーが日本語を十分に理解していなくてもトラブルにはならないかもしれません。
しかし、海外M&Aにおいては、異なる言語の2社が大量の契約書を交わし足り、交渉を行います。
コミュニケーションをできるだけスムーズにするとともに、誤解や勘違いを最小限に抑えるという点においても、アドバイザーが日本語を十分に理解していることは、アドバイザーの選び方においてはとても重要なポイントです。
また、日本語という言語に精通しているだけではなく、日本の文化や企業文化に精通してることも、アドバイザー選びとしては理想的です。
お互いに納得理解して、満足度が高い海外M&Aを実現すれば、統合後にもトラブルが起こりづらくなりますし、長期的には高い相乗効果を期待できるでしょう。
複数のアドバイザーを比較して慎重に選ぶことが大切
海外M&Aに対応するアドバイザーは、たくさんいます。
それぞれ、拠点としている国や経験値、実績は異なります。
費用面においてもアドバイザーごとに異なりますし、得られるアドバイスも、もちろん変わってくるでしょう。
そんな中、アドバイザーが変わると、海外M&Aの相手企業や結果が変わると言っても過言ではありません。
海外M&Aアドバイザーは相談無料の場合が多いので、自社にピッタリのアドバイザーを選ぶために、最初から一人に絞り込むのではなく、複数相談し比較検討をするべきでしょう。