アメリカスモールビジネスM&A案件の注意点(1)掲載財務情報について

アメリカでスモールビジネスM&A案件を探す場合には問題点が数点存在いたします。それらを何回かに分けてお届けいたします。

 

まず、肝心の財務情報からです。以前にお伝えした案件検索サイト、

等で案件を検索しますと、売却希望価格とキャッシュフローやEBITDAが載っております。これらの案件の90%以上のケースで、キャッシュフローやEBITDAが誤情報となっております。悪意があるものではなく、ブローカーも売却希望主も、全く財務の定義が理解していないケースがある為です。企業価値算定におけるEBITDAの希望倍数が載っている場合においても、本来であればEBITDAの希望倍数の算定方法はEV/EBITDAのはずですが、EV(Enterprise Value)ではなく希望売却価格/EBITDAとなっているケースがほぼ99%以上となっております。また、オーナー経営者の給与がキャッシュフロー金額であったり、EBITDA表記されている場合も数多く存在いたします。

 

え?そんな感じなら、案件検索サイトで案件を探しても全く案件を検討するに至る情報が得られないじゃないか?と思うかもしれません。

 

そうなんです。日本から考えるとアメリカはM&Aが盛んであり、日本よりもしっかりとした考え方やブローカーや売主がしっかりと情報を提供するイメージがありますよね。しかし、売却価格$10M(日本円でやく15億円)以下の案件は99%のケースで案件に掲載されている情報の信用度が低いです。売却価格$10M以上の案件は多くの場合、FINRA(米国金融業規制機構)に登録をしたブローカー業社がアドバイザリー業務を行います。$10M以下の案件はアメリカで不動産免許を持っている人であれば誰でも取り扱いができます。不動産の免許を持っていれば、財務的な知識を持っていると思われるでしょうが、なぜか案件検索に掲載される$10M以下の案件財務情報はでたらめな数字が殆どなのです。

 

え?そんな感じなら、買収を検討するのも不可能じゃない?と思うかもしれません。

 

いえいえ、だからこそ良い案件が埋まっているのがアメリカスモールビジネスのM&Aなのです。

 

アメリカでは(正確な数字は不明)おおよそ年間5万件あたりの売却案件が出ており、おおよそ年間1万件弱が売却確定しています。したがって、年間15%から20%弱の成約があるのも事実です。そして、これらの成約案件の中に良案件が潜んでいるのも事実です。

 

是非、積極的に情報収集を行い、良案件を見つけてみてください。良さそうな案件全てに情報リクエストをして、自分なりに案件概要(財務概要)を作り直してからであれば、案件検討に値する案件と良案件を数多く見つけることも可能です。