最近の日本企業によるアメリカ企業買収事例その詳細

日本企業によるアメリカ企業買収M&Aは、盛んに行われています。

近年の製薬業界M&Aの傾向としては、両社が持っているノウハウを共有することによって、市場の拡大や技術開発を行う目的のM&Aが多く見受けられます。

※本記事の情報ソースは、一般公開されている各種報道からのものであり当社で内容の真正さは保証しておりません。

目次

オリンパス社によるVeran Medical Technologies, Inc.社の買収

2020年12月に、オリンパスがアメリカのVeran Medical Technologies, Inc.社(VMT社)とM&A契約を締結しました。

呼吸器インターベンション分野で活躍するVMT社は、気管支の抹消部分へスムーズにアクセスできる電磁ナビゲーションシステムなど、先進的な医療技術を持っている企業です。

VMT社の買収によって、オリンパスが持つ気管支鏡とのシナジー効果が期待でき、将来的には肺がんのような呼吸器系疾患の早期診断や低侵襲治療への貢献が期待されています。

フェローテックHDによるMeiVac社の買収

フェローテックHDは、2020年12月に連結子会社のFerrotec Corporation(FTU社)を通して、アメリカで高品質の薄膜製造システムを提供するMeiVac社を買収し、FTU社の完全子会社化すると発表しました。

このM&Aにより、フェローテックHDが持つ半導体製造装置関連事業に、MeiVac社が持つ真空コーティング技術や薄膜成膜技術が加わることになります。

また、フェローテックHDが持つ販売ネットワークと、Meivacのエンジニアリング技術を組み合わせることにより、シナジー効果が期待できるという点も、このM&Aの特徴です。

アステラス製薬によるiota社の買収

2020年10月に、アステラス製薬が、アメリカのバイオエレクトロニクス分野で活躍するiota社を買収することを発表しました。

iota社は2017年にカリフォルニア州で設立されたスタートアップ企業で、少数精鋭で医療機器開発を行ってきました。

両社はM&Aの前から体内埋め込み型の医療機器を共同開発しており、M&Aをすることによって、開発スピードを加速する効果が期待できます。

塩野義製薬による米国Tetra社の買収

塩野義製薬は、精神中枢神経系疾患への取り組みを行っている製薬会社です。

2020年5月に、アメリカ国内でアルツハイマー型認知症をはじめとする神経疾患に対する治療薬を研究開発しているTetra社の完全子会社化を発表しました。

このM&Aにより、Tetra社が有する中枢神経系のノウハウを、塩野義製薬がそのまま引き継ぐことが可能となります。開発スピードが加速化することも期待されており、高いシナジー効果を得られるM&A事例と言えるでしょう。

JCRファーマによる米国ArmaGen, Inc.の買収

製薬会社のJCRファーマは、血液脳関門通過技術という独自技術を開発し、ライソゾーム病の治療薬開発に注力しています。

2020年3月に発表したアメリカのArmaGen,Inc.買収により、研究開発によって得た知的財産をグローバルな市場に普及できる効果が期待されています。

ArmaGen,Inc.社は、JCRファーマが開発した技術を用いて新薬の研究開発を行う製薬会社で、ライソゾーム病への治療略開発にもかかわっています。

両社が知的財産を共有することにより、グローバルな規模での新薬開発がさらに加速するでしょう。

アステラス製薬による米国Audentes社の買収

2019年12月に、アステラス製薬会社がアメリカのバイオテクノロジー部門企業Audentes社をM&A買収しました。

バイオロジーとモダリティに関するテクノロジーを独自の技術で組み合わせる研究開発を行っているアステラス製薬は、このM&Aによって、Andentes社が持つ神経筋疾患やアデノウィルスに対する遺伝子治療薬の研究ノウハウを共有して活用することが可能となります。

将来的には、希少と言われている疾患のメディカルニーズに応えることが可能となるだけでなく、遺伝子レベルでの治療の領域を広げられるというシナジー効果が期待できます。

アメリカ進出をもっと簡単に…「ターンキーM&A」

今も人口増加を続けるアメリカ市場は大変魅力的。日本からのアメリカ企業M&Aも加速を続けています。

しかし国際間の取引には国内では想像できないようなリスクも存在するため、大きなハードルを感じている企業も少なくありません。「ターンキーM&A」は、そんな国際間ギャップを低減し日本企業のアメリカ進出をより身近なものとします。

海外進出時の異文化リスク、人材リスク、継承リスクなど様々な問題を低減します。
今後の事業戦略の選択肢のひとつとしてお留め置きください。