カントリーリスクについて知る
海外投資や海外進出を検討する際には、必ず対象国のカントリーリスクをチェックすべきです。その国の経済情勢や政策の変化、災害によって、大きく経済が悪化しないか、事業に影響がないかを調べることで、海外展開を安全に行えるようになります。
目次
カントリーリスクとは
カントリーリスクとは、海外投資をしたり海外進出をしたりしている国で、様々な状況が変わることで、取引に影響をもたらすリスクのことを指します。
例えば、投資していた不動産や為替、株式などの価格が急落して、一気に資産が目減りしてしまうことなどです。
どの国にもリスクはありますが、それでも政治や経済が不安定な国だと、よりカントリーリスクが高くなります。最悪のケースとしては、デフォルトと呼ばれる、実質上の国家の経済破綻が起こることがあります。しかし一つの国の経済が崩れるというのは、決して予測不能なことではありません。
カントリーリスクとなり得る主な要因
海外資産や事業の価値を下げてしまうカントリーリスクは、いろいろな要因があります。多くの場合、一つの問題だけでなく複数の要因が絡んでいますので、総合的に判断が求められます。
経済情勢の変化
その中でも、流動性が高いのが経済情勢の変化です。国自体の治安や政治に変化がなくても、アメリカで起こったサブプライムローン問題などは、世界中に大きな影響をもたらしました。
政治情勢の変化
また、政治情勢の変化も大きなリスクにつながることがあります。特に、国内における紛争や隣国との戦争などが生じると、多くの産業にダメージを与えることになります。投資家が資産を引き上げる要因となりますので、事業だけでなく為替や国債なども急激な値下がりを見せることがあります。
そして、その国が政策を変更したという変化もカントリーリスクとなります。もしくは、ころころと政策を変更すると予測されるというだけでも、一つのリスクとなりえます。
たとえば、香港などは自由な経済市場が確保されていましたが、大きな政策の変更によって欧米の資産や人員が引き上げる結果を生みました。海外進出をして、どこかの国に工場や支社を構えている場合、急に外資企業の税金を引き上げたり、資本についてのルールが変更されたりすることもあるのです。
社会的な要因もカントリーリスクを生み出すことがあります。環境に配慮した商品を提供しなければならないというのは、世界中で見られる流れではありますが、特に一部の国では関連する規制が強くなっています。それぞれの地域によって、考え方や取り組み方が違うことで生み出されるリスクとなりえます。
自然災害
もう一つの大きなリスク要因は、自然災害です。地球温暖化が進行している中、以前なら安全と考えられていた地域にもリスクが及ぶようになっています。原料やパーツの仕入れをしたり、現地に工場を持っていたりする場合、製造が難しくなることがあります。
また、燃料コストが上がることによって、製造に伴う採算が悪くなることもあり得るわけです。
海外M&Aにおけるカントリーリスク
海外M&Aをする際には、こうしたカントリーリスクを十分に考慮すべきです。特に、それぞれの国における企業や税務に関する法律を正確に把握、理解しておくべきです。
当該国からすると外資の企業が進出するわけで、多くの国では外資企業に対する規制を敷いています。特にインフラ事業や投資系、金融系などに関する企業については、経営陣の外国人比率や出資比率などが決まっていることもあります。そして、これらのルールが急に変わることもあり、カントリーリスクを高める要素となっています。
また、商習慣の違いもカントリーリスクとなり得ます。労働者の基本的なスキルや教育レベル、コンプライアンスについて考え方なども国によって違うものです。さらには、賄賂などの不正が横行しているところも一部に存在しますので、日本国内のM&Aとは違う考え方を持たないと問題が生じる可能性もあります。
海外進出をする時に検討すべき要素
海外投資をしたり、事業拡大のための海外進出をする際には、事業の見込みだけでなくカントリーリスクについても、真剣にリサーチと分析を行うべきです。その際には、複数のルートで確認することが大事です。すでに進出している国内企業に問い合わせてみたり、現地の大使館やJETROなどの公的な機関を頼ることもできます。
また、リサーチのためにスタッフを実際に派遣して、実情をその目で確かめてくることも良い方法です。