アメリカのエネルギー業界への進出について
アメリカのエネルギー業界へ進出するに際してその特徴や障壁を解説します。
アメリカのエネルギー業は、 再生可能エネルギーの比重が増えていくことなど、大きく様変わりしています。
変化の過程は大きな成長を期待できるものです。
豊富な資金力やM&Aのノウハウなどが必要な業界ではありますが、エネルギー産業への進出は大きなメリットを生む可能性を秘めています。
目次
アメリカのエネルギー業市場の規模と特徴
シェールオイルそして次世代エネルギーへ
アメリカのエネルギー業は、まずシェールオイルの開発によって大きく変化しました。
それまでは中東を始めとする海外からの輸入が大半を占めていたのに対して、シェールオイルが採掘されるようになり、世界トップクラスのエネルギー供給元となったのです。
そのため、大きくエネルギー産業の構図が変わることになりました。
ところが、新型コロナウイルスの影響や中国経済の停滞などがあり、次第に石油やガスの採算が取れなくなるという事態が進行してきました。
そのため、新たなエネルギー源である再生可能エネルギーへのシフトが次第に始められるようになっています。
災害とエネルギー産業
また、毎年のようにカリフォルニアなどでの大規模な山火事が発生したり、南部を中心としたハリケーン被害が拡大したりと、災害の脅威への認識が高まっているという点もエネルギー業に影響をもたらしています。
供給量を上げるということも大事ですが、エネルギー貯蔵量を増やすことを重視する策が採られるようになっているのです。
そのため、同じ業界でも新しい技術を持つエネルギー産業が成長している状況が見られます。
アメリカのエネルギー業界の市場規模は世界トップクラスを維持していますので、それだけ新しい産業が入り込む時には大きな資金が動くことになります。
日本と異なる点
日本と異なる大きな点としては、やはりアメリカは資源国であるという点です。
特にシェールオイルが開発されてからは、資源輸入国から輸出国へと変貌を遂げました。
そのため、ほとんどのエネルギー資源を輸入に頼っている日本とは、根本的な考え方や企業の作りが違うという点を覚えておく必要があります。
また、広大な土地があることや必要とされるエネルギー量が大きいということもあって、再生可能エネルギーなどの生産規模が大きくなるというのも日本とは違う点です。
日本では土地探しや送電のための設備設置などに苦労することが多いですが、アメリカではその点での難度は低いです。
一方で、エネルギー産業に関わる企業の規模は非常に大きく、資金力も技術力も強いものがあります。
そのため、こうした企業との競争をしないといけないという点も検討してM&Aを含む進出を考えるべきです。
障壁やリスク
海外からの進出は容易ではない
エネルギー業への進出はただでさえ膨大な資金を必要とします。
その点、アメリカへの進出をするという点では、新規参入をするには相当強い資金力が求められます。
また、現地での資金調達は外資ということで難しい状況になることもあります。
そのため、完全なる新規参入ではなくM&Aという形で、現地の既存企業を通しての進出が現実的な手法となります。
実際に再生可能エネルギー分野で進出している日本企業も、現地企業を子会社化して参入しているケースが多いです。
公共事業への参加手段
そして、エネルギー事業は公共事業となることが多いので、入札などの方法によって権益を獲得しないとスタートできないという障壁もあります。
そのためには、すでにある程度の実績を持っていることや、設備などの面で信頼性を確保している必要があります。
なによりも、現地の入札や公共事業の特性を理解して有利に進められるノウハウを持っていないと難しいです。
期待を込めて入札したものの権益を獲得できないとなれば、そのために費やした資金や時間を無駄にしてしまうリスクも生じます。
現地でこうした活動をスムーズに進めるために、経験とノウハウを持った人材を獲得するなどの手配も進めておく必要があるでしょう。
もたらすベネフィット
日本以上にアメリカにおけるエネルギー業の市場規模は大きいので、成功した際には投資以上のリターンを得られる可能性が高いというメリットがあります。
そして、そこからつながるさらなるアメリカ国内での事業拡大を見込めるというのも、大きなベネフィットとなります。
アメリカでのエネルギー業進出は強いブランド力を持つことにもなりますので、企業価値を強めることにもつながります。
同時に、アメリカでは世界の中でも最先端のエネルギー開発が進められていますので、技術や先端的な知識を蓄えるのにも適した土壌となっているという点も考慮できます。
確かにリスクがあったり、豊富な資金がないとできなかったりする分野ではありますが、それに見合うだけのメリットを与えてくれるのが特徴であるとも言えるでしょう。
今後の展望
日本は再生可能エネルギーの点で高い技術を持っていますし、実績も高いです。
そのため、これからニーズが高まるこの分野で進出が促進されると考えられます。
さらに、日本国内における規制緩和によって、多くの企業がエネルギー業に参入しています。
それによりさらに多くの企業がこのジャンルにおけるノウハウを身に着け、アメリカへの進出を検討するケースが増えてくることも期待されます。
元々他分野でM&Aをしている企業なども多いので、新たにエネルギー分野で参加することで複合的な事業を推進できます。