アメリカの小売業界・卸売業界への進出について
アメリカの小売業界・卸売業界への進出に際してその特徴や障壁を解説します。
ウォルマートなど、世界の小売業、卸売業企業のトップはアメリカ勢が占めています。
購買力の強い市場ですので、M&Aなどによって進出をすることで大きな躍進を遂げられる可能性を秘めています。
ECシフトが進んでいる点にも注目です。
目次
アメリカの小売業・卸売業市場の規模と特徴
アメリカは世界でも有数の大市場
世界の小売業企業ランキングを見ると、トップ10位の中でアメリカ企業が大半を占めています。
1位はウォルマートで2位はコストコと、アメリカスーパーマーケットチェーンの力が非常に強いことが分かります。
一方で日本は?
一方、 同ランキングでは、日本の小売、卸売業の企業はただの一つも10位以内に入れてはいません。
しかしトップ250社までに範囲を広げると、全体の12パーセントもの企業が日本企業となっています。
日本の場合、一強では無いが故に、複数の企業が世界的な競争力を持っていると言えるでしょう。
このように、世界トップの市場規模を持つアメリカに、日本企業が進出する力は十分にあると考えられます。
実際に大手は参入に積極的
実際に、いくつものスーパーマーケットチェーン大手がアメリカ市場に参入しています。
また、ユニクロを始めとする小売業の企業が、それぞれの強みを生かして事業を拡大しています。
アメリカの市場はとても大きく、市民の購買欲も大変強いため、進出することによって売上高を高く維持できる可能性が高いというのが特徴です。
さらにアメリカでも急速にECマーケットが進んでいて、その技術もノウハウも世界最先端となっていることにも注目できます。
日本と異なる点
顧客のニーズの違い
小売業や卸売業では、やはり顧客のニーズが非常に重要なポイントとなってきます。
当然のことですが、日本人とアメリカ人ではライフスタイルも好みも違います。
そのため、同じような商品であっても求める点が異なる場合が多くみられます。
販促方法の違い
商品の宣伝の仕方や販売価格帯、包装の仕方など細かな点についても差が出てきます。
実際の売上においては、こうした点が成否を分けることになりますので、しっかりとリサーチとマーケティングをする必要が出てきます。
多民族・多文化な市場
言語や文化という面でも違いを意識する必要があります。
例えば、日本においては、ほとんどの製品は日本語、日本人向けに開発されています。
しかし、アメリカにはたくさんの言語グループ、文化グループがあります。
そのため、英語で販売をすれば良いというわけではありません。もちろん、英語がメインとなるのは当然ですが、異なる文化や言語背景を持っている人が多いことを意識しないと、購買層がかなり狭まってしまうことになります。
こうした多文化国であるという違いは、進出戦略を考えるに当たって欠かせない点となります。
障壁やリスク
リサーチコストがかかる
日本国内でも、小売業や卸売業で成功するためには情報収集力がどうしても欠かせません。
顧客の層ごとに異なる購買傾向や購入額などの情報を細かく集め、それを分析することによって効率の良い戦略を立てられます。
それを商習慣も人々のライフスタイルも異なるアメリカで行うということになれば、かなりの手間と資金を投入しなければならず、一つの障壁となります。
そのためにも、リサーチを行える企業をM&Aする、すでにノウハウと情報を持っている企業を買収するなどの事前準備をすることも重要な一手となってきます。
単に商品を持って行き販売できれば良いということではなく、リサーチのための準備もしないといけないのです。
商習慣の違いに如何に対応するか
また、商習慣や接客の違いもリスクとなりえます。
仕入れをしたり店舗を決めたりする上で、日本とは異なる商習慣がありますので、現地でのやり方を知っていないとトラブルに巻き込まれることになります。
また、接客や販売スタッフへの教育の仕方についても苦労することがあります。
そもそも日本とアメリカでは、接客についての意識が違いますし、社員に求める内容も異なります。
日本と同じやり方でしてしまうと、従業員とのトラブルを引き起こすリスクが高まります。それは接客についても言えることです。
進出がもたらすベネフィット
日本以上に消費行動が盛んな国ですので、アメリカに進出するということは大きなマーケットを持てることを意味します。
大量消費の生活習慣が身に染みているところですので、商品がヒットすれば大きな売上アップを狙えるというベネフィットがあります。
また、世界でもトップの位置にあるのがアメリカの小売業、卸売業企業ですので、それらの企業が持つノウハウや意識を吸収できるというのも大きなメリットです。
これからさらにECの世界は進化を遂げていきますし、売上高という面でも業界のメインとなっていきます。
その最先端の企業の実情を間近で見られるというのは、大きな力となります。
今後の展望
小売業は世界的にECシフトが進んでいます。
そのため、大企業でなくても参入しやすい状況となっています。
また、特にアメリカでは新進のEC企業がたくさん生まれています。
将来性があり現地の活動に利用できるところを見つけて、M&Aしやすい状況が見られます。
こうしたメリットを生かして、大企業でなくてもさらに多くの企業が進出することが考えられます。
実店舗を持たないECのみでの進出ということも多くなるのも、これからの動きと見られます。