アメリカのIT業界への進出について
アメリカのIT業界への進出に際してその特徴や障壁を解説します。
アメリカのIT業界は世界ナンバーワンの座を不動のものとしています。
市場規模だけでなく情報技術やアイディアの点でも他を圧倒する力があります。
M&Aによって進出し、こうした力を吸収し企業力を上げるのに役立ちますので、日本からの参入も検討する価値があります。
目次
アメリカのIT業界における市場の規模と特徴
日本の4倍の規模!?
世界全体におけるIT関連の支出金額は400兆円に上ると予測されています。
一口にIT業界と言っても様々な分野があり、デバイスやソフトウェア、コミュニケーションアプリ、データセンターなどの細かなジャンルに分かれます。
すべての分野において成長が続いていて、さらに大きな続伸が見られることが考えられます。
こうした情報技術分野を引っ張っているのは、引き続きIT大国のアメリカとなっています。
ITエンジニアの総数を比較しても、世界トップの規模を誇るのです。
実に477万人がIT業界に携わっていて、日本と比べても4倍以上の総数を持ちます。
そして、生産効率も非常に高く、ICTの分野でのグローバル企業が多いのがメリットです。
アイデアにも優れるアメリカ
アメリカのIT業界は、技術の分野でも優れていますがやはり先進的なアイディアと規模の大きなサービスが特徴となっています。
FacebookやAppleなどの世界的に圧倒的なシェアを誇るメガ企業がいくつもあり、デバイスの分野でもアプリツールなどのジャンルでも進んでいます。
そして、新進企業の割合が高いというのも特筆すべき点です。
どんどん新しいアイディアを持ち、それをサービスとして提供する会社が増えていて、M&Aによってさらに成長したりサービスを拡充していく企業戦略を持っているという特徴もあります。
日本と異なる点
アメリカは特にIT業界において、ベンチャー企業の数と規模、そして成長率という点で、日本よりも高い数値を出しています。
独創性に優れた新しいサービスを開発し提供していくことが得意なので、日本では見られないようなユニークなアイディアを持つ企業が目立ちます。
また、経営規模が小さくエンジニアも含めて従業員の数が少ない会社が多いというのも、日本とは違う点として注目できます。
M&Aなどによって進出する際には、ある程度の経営基盤を持っているかどうかを見ることが多いですが、アメリカのIT業界では小さな経営基盤でも非常に独創的なサービスを提供している企業が多く、そこから爆発的な成長を見せることもあります。
そのため、他の業界とは異なる視点で企業分析を行っていくことが重要となります。
そして、日本以上にM&Aが頻繁になされているのも異なる点です。
むしろ、新進企業の経営者は、開発したサービスやアイディアを大きな企業に買い取ってもらって利益を得たり、そのサービスを市場に送り出す力を付けることを目標としているケースが多いです。
障壁やリスク
投資予算と回収時期のギャップ
将来大きな成長を見せる可能性を持つアイディアを持っているものの、経営基盤が弱いというのは一つのリスクとなります。
そのアイディアを効果的に活用できれば良いのですが、経営力を付け具体的にサービス提供につなげるためには、多額の投資が求められることもあります。
その投資コストは障壁となることもありますので、リサーチと分析をしっかり行うことが肝心です。
M&Aバイヤーが場慣れしている
また、M&Aに慣れているというのも、一つの障壁となることがあります。
有力なベンチャー企業の多くは買収を持ちかける企業からの引き合いが頻繁にあります。
そのため、他社との競合をさせて金額を高くさせたり、良い条件を引き出したりするケースが多いです。
交渉にも慣れていますので、相手にとって魅力的な条件を提示できるか、ライバル企業を出し抜けるかという点に気を付けるべきです。
つまり、買収したいと思っている企業だけでなく、同じようにM&Aを仕掛ける可能性のあるライバル企業についてもリサーチしておいた方が良いということです。
もたらすベネフィット
やはりアメリカの情報技術レベルは、基礎的な技術においてもアイディアにおいても世界トップクラスです。
そのため、こうした地盤を吸収できるというのは、企業成長に大きなプラスとなります。
また、良いアイディアを持っているものの、資金力などの関係で世に出ていない小さな企業が多いのもメリットです。
たくさんの情報を集めて、いわゆる掘り出し物の企業を見つけることができれば、大きなリターンを得られるのです。
単にアメリカに進出するための準備として企業を探すというよりも、自社の力を付けるためのM&Aができるというベネフィットを得られるのがメリットです。
今後の展望
アメリカのIT業界はすでに世界トップの座にあります。
それは市場規模においても技術やアイディアのレベルにおいても言えることです。これからもこの勢いは続いていきます。
そして、IoTやAIなどの先進的な技術、量子コンピューターなどの全く新しい分野に踏み込んでいくことが予測されます。
こうした先端技術を持つ、もしくは新たに参入する企業に目を付けて、日本からM&Aなどの形で進出していくことが期待されます。
アメリカは基礎研究や新しいアイディアの開発に優れていますので、その恩恵に預かり、日本企業が得意とする製品化や改良による高品質化というメリットをプラスして、付加価値を付けていくことになるでしょう。