海外M&Aはコロナの影響でどう変化した?

COVID-19は2020年初頭より世界中で猛威を振るっており、死者は2020年10月時点で既に80万人超えています。

このウイルスが持つ強い感染力に対する懸念から、日本を始めとして世界各国でロックダウンが行われたことも記憶に新しいでしょう。

これにより、各国の経済には破壊的な影響が及んでいます。

2019年まで非常に盛況で活発に取引が行われ、さらなる発展が期待されていた海外M&Aの分野も例外ではありません。

目次

コロナによって世界の経済は大きく変化した

経済の停滞

コロナによる経済の停滞は世界中で見られており、2020年度の世界経済は5.0%前後のマイナス成長となるとみられています。

米国を始めとする経済大国でもGDPのマイナス成長を防ぐことは難しくなっており、6月から8月期に限ってみると年率マイナス30%超という報告がなされています。

日本でもロックダウンの影響は非常に大きく、GDPは年率ベースで20%前後のマイナスになるのではないかという予測もあるほどです。

近年外国人観光客によるインバウンドの恩恵に浴していた日本としては、国際線の多くが運行できないというこの状況に大いに悩まされています。

クロスボーダーM&Aへの影響

コロナの影響により、需要が拡大していた海外M&Aにもネガティブな影響が及んでいます。

海外M&Aを実行するためには、デューデリジェンスの観点から、買収先の企業がある現地へ担当者が赴いて、各種書類の調査や分析を行う必要があります。

また、メーカーであれば生産施設のクオリティーや安全管理などもチェックしなければなりません。

残念ながら、コロナによって多くの国際線が運休している状況では、こうした現地調査をほとんど行うことができないため、M&Aの取引が進められていないというケースが非常に多いのです。

資金力の低下

コロナの悪影響によって企業の資金力が低下しているというのも、海外M&A市場に大きな影響を及ぼしています。

企業の業績が低下すると、金融機関は貸付金回収の不安があることからさらなる融資の実行を躊躇してしまい、結果として企業は買収に必要な資金を用意できなくなってしまったというケースが散見されています。

加えて、ヨーロッパを中心として、海外M&Aを当面の間自粛するようにという要望を行っている政府も少なくありません。

これは、M&Aによるシナジー効果を期待していて準備を進めてきた企業にとって、非常に残念な状況と言えるでしょう。

それでも海外M&Aは増加傾向が続く?

とはいえ、海外M&Aは再び活況になると予測されています。

その背景として「海外の労働力や大きな市場規模に対する期待が引き続き大きい」という点が挙げられます。

日本国内では、コロナの有無に関わりなくさまざまな分野で市場規模の縮小傾向が続いており、新たな取引市場の開拓は必須です。

また、国内における労働力の減少に歯止めがかからない状態で、豊富な労働力を持つ海外への関心が高まるというのは当然でしょう。

特に、アジアやアフリカ市場の持つポテンシャルに対する期待は非常に大きく、それはコロナ禍においてもほとんど変化していません。

コロナウイルスワクチンの開発と安定供給が達成されれば、必然的に海外M&Aの需要は再び大きくなると予測されています。

そして、2020年10月現在、世界各国でワクチン開発は最終臨床試験の段階まで進んでおり、国際線の動きも緩やかながら回復基調になってきて、国境を超えた人の動きが徐々に見られ始めています。

こうした報道を受けて、M&Aのプロセスが再開している企業も少なくありません。

ですから、基本的にはこの流れが継続して、徐々に海外M&Aへ取り組む企業が増えていくと考えられるわけです。

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