アメリカの金融業界への進出について
アメリカの金融業界への進出するに際してその特徴や障壁を解説します。
アメリカの金融業は世界的に見ても非常に大きな規模を持っています。
また、規制緩和が進み自由に投資できる環境も整っています。
M&Aによる進出で、ブランド力を高めることができるのもメリットです。
リスクも存在しますが進出する価値が十分にあります。
目次
アメリカの金融業市場の規模と特徴
世界一の市場規模
金融業においてもアメリカの市場規模の大きさは群を抜いています。
証券取引という分野だけを見てもそれは明らかです。
東京証券取引所は世界で第三位の規模に成長していますが、それでもニューヨーク証券取引所は、その4倍の市場規模を誇ります。
その下には、やはりアメリカのNASDAQがありますので、アメリカの金融業がいかに大きいかが分かります。
このアメリカの二つの証券所だけでも、世界の4割弱の資金が流れ込む場となっているのです。
こうしたことから、まさに世界経済を動かす中心地としてアメリカが君臨しているという事実は誰の目から見ても明らかなのです。
証券だけでなく金融商品も
証券だけでなく関連する金融商品の規模もやはり桁が違います。
投入される資金額も相当なものがありますし、新しい商品開発という分野においても強い力を持っています。
IT業界と同じく金融業界においても、他国を圧倒する独創的なアイディアを持った商品が次々と出ていますので、資金力と開発力の強さが大きな特徴となっていることが伺えます。
日本と異なる点
規制緩和
日本でも金融緩和が進んでいるとはいえ、アメリカの規制緩和の進み具合にはかないません。
もちろん、外資に対しては規制が強い部分もありますが、それでも自由度の高いビジネスができるというメリットがあります。
従業員のポジションの違い
また、一人一人のスタッフが持つ裁量権が高いことも日本企業との違いとして挙げられます。
実力があれば一人でもかなりの額の投資判断をすることができますし、様々な分野に手を出すことができます。
それだけ個々のトレーダーやバンカーの能力が高く自立心が高いということの表れです。
こうしたスタッフは会社に属してはいるものの、企業と個人契約をしているような感覚で業務を行っています。
実績を出せるかどうかという、とても合理的かつシビアな世界の中に身を置いているのです。
その他日本と異なる傾向
全体的な傾向として、一件当たりの投資額や一企業が持つ投資総額が高いというのも日本とは異なる点です。
そして、投資先の選定や判断、決定までのスピードがとても速いというのも、日本との違いとしてよく挙げられるポイントです。
もちろん、徹底したリサーチや分析をしますが、判断がスピーディーなのが特徴と言えます。
参入の障壁やリスク
アメリカの金融業はそれぞれの企業のブランド力が高いということもあって、外資への信頼度がそれほど高くありません。
特にアジアからのM&Aについては消極的な面も多く見られます。
日本はその中でも優位に立っているものの、M&Aをして進出するということになっても、なかなか交渉の場につくことさえ難しいケースも見られます。
また、金融業においては外資に対する一定の法的規制が設けられています。
こうした法令に抵触すると大きな問題となりますので、法的リスクがあるということを意識して、しっかりと法令についての知識を備えておく必要があります。
そして、前項で触れたように金融関連の企業は、それぞれのスタッフの能力と自立心が強い傾向にあります。
会社に属しているという感覚はそれほど強くないため、M&Aなどによって会社の経営陣が変わると、それに伴って他の会社に移ってしまう社員が出てくることもあります。
こうした雇用リスクも実際に進出する際の障壁となることもありますので、対策をきちんと立てておくことが重要です。
社員たちとのコミュニケーションの場を設けるなど、経営陣とは別に力を注ぐ必要が出てきます。
もたらすベネフィット
やはりアメリカに進出すると、日本以上にスケールの大きな取引に携わることになります。
そのため、リスクもあるとはいえ大きな利益を得るためのチャンスをつかめることになります。
さらに、企業としてノウハウや実績を積めるというベネフィットもあります。
アメリカにおいて事業をしているという実績は、ブランド力を高めるためにも役立ちますので企業価値が上昇します。
金融業だけの問題ではありませんが、やはりアジアのブランドよりもアメリカのブランドの方が通じやすい状況が見られます。
そのため、M&Aで進出することによって知名度を上げることができ、日本企業の本来の質の良さを多くの人に知ってもらうきっかけとすることができます。
また、高い投資手法の判断能力や蓄積されたノウハウを得られるというのも大きなベネフィットです。
今後の展望
日本企業の大きなM&Aがさらに拡大することが期待されています。
日本以上に金融面での規制緩和が進んでいますが、今後さらにその流れが進むことが考えられます。
それだけ自由に投資ができますので、勝負できる舞台が広くなることを意味するのです。
特に日本は高齢化社会が深刻化することになりますので、どうしても経済規模が将来的に縮小してしまうことになります。
日本市場だけでなく、さらに大きく自由度の高い国外市場を求めるのは生き残りのために重要なステップとなるのです。