アメリカ主要産業別にみる地域の特徴
アメリカへ進出する日本企業はたくさんあります。
アメリカは州によって主要産業が大きく異なり、日本企業が進出先に選ぶ州もまた、そのエリアの主要産業によって変わります。
ちなみに、日本からの進出が多いのはニューヨーク州とカリフォルニア州です。
広大な国土を持つアメリカにおいては、各州で気候や風土が大きく異なり、活発な産業も異なります。
目次
アメリカ進出日本企業の傾向
アメリカに進出している日本企業は、合計で7,000社程度あります。
業種別に見ると製造業が最も多く、自動車メーカーや電機メーカーおよび、関連企業などがあります。
IT系のパッケージソフトウェア業や情報提供サービス業なども多いです。
また、投資や経営コンサルなどの金融に関する企業もあり、製造業は全体の40%程度を占めています。
日本企業のアメリカ進出においては、大半の企業がカリフォルニア州かニューヨーク州へと進出しています。
カリフォルニア州へ進出企業は、アメリカ進出企業全体の40%以上で、ニューヨーク州への進出は全体の16%程度となります。
その他には、シカゴがあるイリノイ州、観光地で人気のハワイ州、自動車メーカーが本社を構えるミシガン州などへの進出が見られます。
製造業が主要な州・エリアの特徴
アメリカ州において、製造業が中心の州と言えば、ラストベルト(Rust Belt)として知られる北東部の州でしょう。
五大湖から大西洋にかけての一帯には、オハイオ州やインディアナ州、ペンシルベニア州、ニューヨーク州などが該当します。
このエリアはもともと石炭や鉄鋼などの鉄鋼産業が活発に行われてきた地域で、現在でも自動車産業の拠点の一つとなっています。
このエリアで製造業が発達した背景は、いくつかあります。
まず1つ目は、五大湖から大西洋に向かって川が流れており、自然に形成された水路を使い、原料や製品の運搬が容易だったという地理的な条件です。
五大湖から大西洋までの標高差はそれほど大きくはなく、歴史の中ではナイアガラの滝を避けて運航できる運河も建設されたため、陸送よりも容易に貨物の運搬ができたのです。
2つ目には、このエリアの土壌は農業に適さず、農業を行っても生産性が低かったことがあります。
冬が長く厳しい土地だったため、農業に従事する人口も少なければ生産性も低く、農業以外の分野が入り込みやすい条件がそろっていたと考えられます。
エネルギー産業が主要な州・エリアの特徴
アメリカでエネルギー産業が主要な州は、メキシコ湾に面した南部の州が多く並びます。
アメリカは石油や天然ガスが採掘できるエネルギー大国で、内陸部で生産された石油や天然ガスは、パイプラインを使って南部の州へ送られ、そこで精油されます。
メキシコ湾岸には製油施設が多く、アメリカ国内のスーパーメジャーエネルギー企業として知られているエクソンモービルやシェブロンも、メキシコ湾岸を拠点都市、近隣エリアに多くの施設を構えています。
日本企業からの進出もエネルギー産業に関する企業だと、テキサス州を始め南部の州へ進出することが多いです。
エネルギー産業が主要な州は、全般的に気候が温暖で、土地が広々しているという特徴があります。
山岳地帯などはほとんどなく、平坦な土地なためにパイプラインを引きやすいという点も、エネルギー産業が発達しやすかった要因なのかもしれません。
IT産業が主要な州・エリアの特徴
アメリカにおけるIT産業といえば、カリフォルニア州にあるシリコンバレーがよく知られています。
近年では、西海岸北部にあるワシントン州に本拠地を移転する企業が多く、世界中で高い知名度を持つマイクロソフト社やアマゾン社も、ワシントン州を拠点としています。
大企業だけではなく、ベンチャー企業も多く、プログラマーやデザイナーの流入が活発で人材が豊富という点もまた、IT産業の発展に拍車をかけています。
カリフォルニア州は、日本からの企業進出が多い州としても知られています。
西海岸に位置しているので、日本からの移動に便利ですし、日系人が多く日本文化がある程度浸透している点もまた、日本企業にとっては進出しやすい理由かもしれません。
ただしアメリカにおけるIT産業は、西海岸でだけ主要産業となっているわけではありません。カリフォルニア州を始め、ニューヨーク州やマサチューセッツ州、イリノイ州やテキサス州でも、都市部を中心にIT産業が活発です。
IT産業が主要なエリアの特徴は、どの州においても都市部が多いという点です。
人とモノの移動に便利な空港がそばにあったり、金融業との連係プレーをしやすい立地条件が多いです。
飲食・観光業が主要な州・エリアの特徴
飲食や観光業が主要な州は、たくさんあります。
日本でよく知られている州なら、ハワイ州やカリフォルニア州がありますし、フロリダ州やニューヨーク州なども人気があります。
日本からも飲食サービス業の企業がアメリカへ進出していて、その数は全体の20%を占めます。
飲食観光業が主要な州では、旅行代理店や日本人向けの不動産投資に関連する企業が多く見受けられます。
こうしたエリアでは、日本からの観光客だけに人気があるというわけではなく、世界中から多くの観光客が足を運ぶ地域としても知られています。
人気がある場所なので不動産の価格が高騰しやすく、物価が高いエリアとなりやすい点もまた、飲食や観光業が主要な都市の特徴と言えます。