デューデリジェンスは具体的にどんなことをするのか?

デューデリジェンス(DD)はM&Aにおけるリスク管理に不可欠にプロセスであり、買収や合併の成否に大きな影響を及ぼします。財務や法務の観点から実施するデューデリジェンスに加えて、最近では環境負荷など新たな指針を取り入れた手法が登場しています。

様々なデューデリジェンスの種類

デューデリジェンスとは英語の「Due Diligence」に由来するビジネス用語であり、M&Aの分野においては「対象となる企業の適切な評価・評定業務」を意味しています。各単語の頭文字を取って「DD」という表現が用いられることも少なくありません。デューデリジェンスにはさまざまな方法があるため、各手法の特徴を踏まえたうえで、買収の規模や企業の事業内容などに応じて適切なものを選択する必要があるでしょう。

マネージメントインタビュー

マネージメントインタビューとは、買収対象となる企業の経営者や企業運営において需要な役割を果たしている役員などに対して、個別に行う面談のことです。この面談を通して、現在の経営陣が持つ資質や将来的なビジョン、社員を導く上でのリーダーシップ力などを見極めることができるでしょう。また、現場で働く社員から直接意見を聞くことで、経営陣と現場の意思統一がなされているのか、ポテンシャルを持つ社員がどれほどいるかといった点についても知ることが可能です。これにより、書類からは読み取ることが難しい情報を効率よく手にすることができるでしょう。

環境デューデリジェンス

環境デューデリジェンスとは、企業が運営しているプラントや工場などについて綿密なチェックを行い、環境問題が発生するリスクについて判断する作業です。この過程を通して、企業の生産活動により地域の水質や土壌を汚染している可能性があるのか、また設備投資を行うことで状況の改善が見込めるかといった点も見極めることができるでしょう。海外に基盤を持つ企業とのM&Aを実施する際、非常に重要なファクターとなっています。

システムデューデリジェンス

システムデューデリジェンスとは、企業として導入しているIT技術の水準や保守管理の詳細について確認するプロセスです。SIやSEによるチェックのもとで、M&Aが実現した場合にどちらの企業が保有するシステムをメインで運用していくのかという点も検討されます。また、どちらかのシステムへ統一する作業を行う場合に発生する費用や、新たなシステムを全面的に導入した場合に生じうるコストなども算定する必要があるでしょう。加えて、新たなITシステムの保守管理を自前で行うのか、それとも外注するのかといった点も検討されます。

人事デューデリジェンス

人事デューデリジェンスとは、企業の人事制度全般をチェックする作業のことです。業務査定のメソッドや人事担当者のスキル、社内における新人育成の方針や資格取得のサポート体制なども含めて詳しくチェックしていきます。また、労使交渉に関するマニュアルなどもチェックして、企業が合併した後に大きなトラブルとなるリスクがないか、精査する必要もあるでしょう。加えて、社内の各部署と社員のスキルがマッチしているかも確認します。

法務デューデリジェンス

法務デューデリジェンスとは、買収対象である企業が株式の運用や関連会社とのかかわりにおいて、法的にリスクのある行動をしていないかを精査するものです。特許を多く取得している企業であれば、特許訴訟が起こるリスクや知的財産権を保護するための取り組みなどもチェックする必要があります。加えて、社員の労働環境などを確認し、労務訴訟の可能性がないかについても詳しく確認していきます。

ビジネスデューデリジェンス

ビジネスデューデリジェンスとは、企業のビジネス全般に関するチェックです。業績の柱となっている商品やサービスは何か、市場におけるシェアはどれほどか、シェア拡大のためにどのような戦略を立てているかといった点も確認していきます。競合他社と比較した場合のメリット・デメリットに加えて、M&Aが実現した場合のメリットとデメリットは何かという点も分析する必要があるでしょう。

財務デューデリジェンス

財務デューデリジェンスとは、企業の財務諸表などを精査して、買収を行うことに伴う資金面でのメリット・デメリットを確認する作業のことです。これまでの業績が確認できる決算に関連した書類に加えて、キャッシュフローや銀行との取引状況、具体的な債務額や返済の状況などをチェックします。これにより、資金面での安定性を確認できることに加えて、M&Aによる収益性アップが見込めるかどうかなども判断可能です。

ベンダーデューデリジェンス

ベンダーデューデリジェンスとは、買収される側の企業が自社に関する綿密な調査を行い、買い手側の企業に必要な情報を揃えるというものです。M&Aに伴う懸念事項を積極的に開示すると同時に、合併に伴うメリットやシナジー効果なども伝えることで、M&Aの成立を積極的にサポートすることができるでしょう。売り手側の協力を得ることで、M&Aの手続きにかかる時間が大幅に短縮されるというのもこのメソッドを採用する利点と言うことができます。

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