アメリカのリモートワークの浸透状況

アメリカでは、リモートワークの浸透率が85%と、他の先進国より高くなっています。その背景には、成果主義の評価システムやテレワーク強化法などがあると考えられます。

目次

アメリカのテレワーク浸透状況

世界的なパンデミックにより、日本でも出勤せずに自宅から仕事をするテレワークやリモートワークが浸透しています。その働き方には賛否両論がありますが、もともとリモートワークが進んでいたアメリカでは、普及率85%と言われるほど広く浸透しています。

アメリカのテレワークは、中小企業から大企業まで幅広く導入されています。会議やミーティングはWeb会議という形式となり、ZOOMやスカイプなどのソフトやアプリを使って行います。

テレワーク強化法

アメリカでは、2010年に連邦政府が「テレワーク強化法」を成立しています。これにより、民間企業だけではなく、政府機関や公務員などもリモートワークが推進されているという背景があります。こうした法律がすでに確立されているため、コロナウィルス感染拡大防止のためのリモート化も、比較的スムーズに移行しやすかったと言えるでしょう。

労働評価基準の違い

そもそもアメリカは、他の先進諸国よりもリモートワークの浸透率が高い国です。その理由は、業務に対する評価制度にあります。アメリカ企業の多くでジョブ型雇用が採用されており、職務の内容や責任の所在がはっきりと線引きされています。労働時間が長ければ上司からの評価が高いというシステムではなく、成果主義のシステムが確立されている点もまた、リモートワークが浸透しやすい基盤と言えます。

日本との比較

アメリカと日本のリモートワークとは、大きな違いがあります。その中でも大きいのは、前述した企業の評価制度ではないでしょうか。アメリカの評価制度は、成果主義なのに対し、日本の評価制度は、メンバーシップ型雇用や年功序列制度が根強く残っている企業が多いという特徴があります。つまり、長く会社に貢献している人ほど評価は高くなるのです。周囲が働いている中で、自分は成果を出したからOKというのは、日本の企業文化においては評価されづらいものです。上司から高く評価されるためには、長時間労働で頑張って働いているという姿勢を見せるという作業が必要となります。

リモートワークではそうした姿勢を見せることが難しく、会社側は社員を評価しづらいという点が、日本ではなかなかリモートワークが浸透しない理由だと考えられます。

一方、アメリカでは年功序列の制度がなく、転職をすることに対してマイナスの感情はありません。また、評価が成果主義なので、どこで仕事をしても成果を出すことが最優先事項だと考える土壌が確立しています。リモートワークが推進されても、評価システムが大きく影響を受けないため、浸透しやすいのでしょう。

WEB会議アプリケーションのシェア

リモートワークの場合には、どんな方法でコミュニケーションを取るのかがとても重要です。メールやスマートフォンのテキスト機能を使うという方法も良いですが、複数のスタッフとリアルタイムに話ができる会議では、Web会議のために開発されたソフトやアプリなどのツールを使う必要があります。

Web会議アプリケーションにはたくさんの種類がありますが、アメリカではZoomが圧倒的な人気を誇り、全体の48%で導入されています。その他には、マイクロソフトのTeamsやGoogle Hangouts、スカイプなどのアプリケーションが使われています。

日本でも、ZoomはWeb会議アプリケーションとしてナンバーワンのシェアを誇りますが、シェア率は30%程度で、アメリカと比べると低い水準です。その代わりに、日本ではスカイプのシェア率が高く、25%とZoomと大きな差がありません。アメリカでは、スカイプの普及率はわずか9%です。日本においては、Web会議システムではZoomに加えてスカイプの人気も高いと言えるでしょう。

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