地方銀行は海外M&Aに積極的!?その背景とは

地方銀行では、マーケット拡大を目的とした海外M&Aを推進しています。政府主導のプロジェクトが始動する他、既にグローバル展開をしている企業からの支援を受けながら、今後の地銀の海外支出が注目されています。

地方銀行の海外M&Aが増加

近年、地方銀行の海外進出が増えており、M&Aを活用する地銀も多くなっています。この背景には、政府が地銀の海外進出を後押しするために交流の場を設けたり、海外の機関投資家から出資を積極的に募ったりなどの働きをしていることがあります。

内閣府は全国の都市部を中心に地銀を含む中小企業の世界展開を支える事業を行う他、海外ファンドによる資金調達を目指すプロジェクトをスタートします。また、地方銀行が海外M&Aに乗り出しやすいように、日本貿易振興機構が中心となって、マッチングサポートをすることも計画されています。

グローバル展開している企業が中小企業を支援

地方銀行の海外M&Aが活性化した背景には、日本国内企業によるサポート体制もあります。

例えば、丸紅では2018年から地方銀行へ国際業務に精通したスタッフを派遣し、海外M&A支援を行っています。地銀を支援することによって、大手商社はローカルな地域における国内事業の強化を図れるというメリットがありますし、地銀は信頼できるサポートを活用して海外M&Aに臨めるというメリットがあります。

大手商社が地銀に人材を派遣するというケースは珍しいのですが、この取り組みは成功を収めています。そのため、今後は他の大手企業なども、地銀のサポートに乗り出すことが期待されています。

地域密着型の地銀が海外M&Aを行うメリットとは?

地銀の多くは、地域密着型の金融サービスを展開しています。その地銀が、国内に市場を広げるのではなく、M&Aによって海外へマーケットを展開するということには、たくさんのメリットが期待できます。

市場拡大

1つ目は、海外市場は国内市場と比べてポテンシャルが高いという点です。既に飽和状態となっている国内市場よりは海外に向けたほうが、顧客獲得をはじめとするマーケット拡大のチャンスが大きいのです。

M&Aでリスク低減

2つ目は、既に存在する企業とのM&Aで海外進出をしたほうが、銀行を新設するよりもリスクが少ないという点があります。海外に新しく銀行を設立する場合、会社設立からネットワークの構築、人材確保など、越えなければいけないハードルはたくさんあります。ネットワークやインフラをゼロから構築するよりも、既に構築されているネットワークを活用するほうが、短期的にも長期的にもリスク回避をでき、シナジー効果が期待できるのです。

顧客のグローバル化に対応

3つ目は、顧客のグローバル化に伴って銀行もグローバル展開することで、日本国内の顧客数を拡大できるというメリットがあります。企業のグローバル化やクロスオーバーM&Aが進む中では、海外に生活拠点を移す日本人はたくさんいます。そうした顧客に対して、国外でも引き続き金融サービスを提供することにより、より多くのビジネスチャンスを獲得できます。この点もまた、海外M&Aの狙いと言えるでしょう。

銀行のM&Aはアジア諸国が人気

地方銀行の海外M&Aでは、欧米諸国の銀行とのM&Aよりも、アジア諸国とのM&Aが人気です。アジア諸国は地方銀行だけでなく、大手銀行もすでに進出しているエリアのため、M&Aに関するノウハウやその国やエリアにおける文化や風習、税制面などについての知識と経験があるという点が、地銀のアジア進出を後押ししているのかもしれません。

アジアには様々な国があり、それぞれ金融ルールが異なります。例えばタイでは、タイ国内に支店を持つ外資系銀行は現地の銀行に対して出資できない、という規制があります。そのため、タイへ進出するためには、現地の金融機関とのM&Aをするのが、規制回避のための最善策です。これまでに培ったノウハウを駆使することで、地方銀行のM&Aをより成功に近づけることができます。

アメリカ進出をもっと簡単に…「ターンキーM&A」

今も人口増加を続けるアメリカ市場は大変魅力的。日本からのアメリカ企業M&Aも加速を続けています。

しかし国際間の取引には国内では想像できないようなリスクも存在するため、大きなハードルを感じている企業も少なくありません。「ターンキーM&A」は、そんな国際間ギャップを低減し日本企業のアメリカ進出をより身近なものとします。

海外進出時の異文化リスク、人材リスク、継承リスクなど様々な問題を低減します。
今後の事業戦略の選択肢のひとつとしてお留め置きください。